いま行きたい千葉県の美術館特集~建築家の息吹を感じて~

千葉県にはさまざまなテーマの美術館があります。今回紹介するのは、最近話題の美術館や、ぜひ注目していただきたい美術館。どれも建物が個性的ですので、展示品のみならず、建築物としても魅力的です。建築家の息吹を感じて、アートな一日をお過ごしください。

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ホキ美術館

※水害の影響により現在、休館中です

大通りから住宅街の道を進んで間もなく、目に飛び込んでくるモダンな建物。これが日本初の写実絵画専門美術館として、2010年に開館した「ホキ美術館」です。

美術館の周りをぐるっと歩いてみると、その建物の形に驚かされます。入り口を通り越して反対側に回れば、ギャラリーが30メートルの長さで宙に浮き、フォトスポットにもなっています。

5つの回廊が組み合わさってユニークな形状となった建物の中へと、歩みを進めてみましょう。白を基調とし、ゆるやかなカーブを描きながら伸びるフロアにゆったりとした間隔で展示された作品。全館LED照明を採用し、壁面に目地やピクチャーレール、ワイヤーはありません。鑑賞時の視界には目の前の絵画のみが映り、一つひとつの作品と会話するようにじっくり向き合うことができるのです。

これは、保木将夫氏の収集した約480点の写実絵画作品を、最適な環境で鑑賞できるように考え抜かれたもの。千葉市最大にして101ヘクタールの広さを誇る公園「昭和の森」に隣接して自然と一体化し、自然光が差し込むギャラリーは心地よい空間となっています。人物、風景、動物、陶芸など、のんびりと鑑賞しましょう。歩き疲れたら、昭和の森を眺めながらいただく本格的イタリアンレストラン「はなう」が1階にあります。

年に2回ほど、設計に携わった建築士が解説する「建物探検セミナー」が開催されます。外観に加えて、普段は撮影できない館内も撮影可能(絵画作品以外)。ぜひお出かけください。

野田弘志 『蒼天』(2010年)

企画展

◎~2019年9月1日(日) 「スペインの現代写実絵画 バルセロナ・ヨーロッパ近代美術館(MEAM)コレクション」
画家の主張がダイレクトに伝わる個性豊かなスペインの写実作品の数々を展示。全てが日本初公開となる作品を、4つのギャラリーで楽しめます。
◎2019年9月5日(木)~11月17日(日) 「ハンガリーの写実画家 サンドルフィ展 -魂と肉体のリアリズム」
MEAMコレクションより、1948年生まれハンガリーの写実画家で、パリで活躍したサンドルフィの作品20点が日本初公開となります。青とピンク、寒色と暖色の背景のもと、空間に溶け込んだり抜け出てきたり、不思議な設定の中で描かれた人物像。画家の心の叫びとも言える衝撃の作品群です。

ホキ美術館

所在地/千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15
アクセス/JR土気駅より徒歩約20分
駐車場/普通車40台(無料)
開館時間/10:00~17:30(入館受付は17:00まで)
休館日/火曜日(祝日の場合は翌日休館)
入館料/一般1800円、高校生・大学生・65歳以上1300円、中学生900円、小学生以下無料
電話番号/043-205-1500
公式サイト/https://www.hoki-museum.jp/

ラブちば優待 特典内容/入館料100円引き ※現金でお支払いの方のみ対象
(ご利用の際は、こちらの「ラブちば優待証」画面をご提示ください)

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DIC川村記念美術館

※2020年3月31日(火)まで休館中です

レンブラント・ファン・レイン、クロード・モネ、パブロ・ピカソ、マルク・シャガール、ヴァシリー・カンディンスキー、ルネ・マグリット、アンディ・ウォーホール、フランク・ステラ。

誰もが一度は耳にしたことのあるアーティストの作品を鑑賞できるDIC川村記念美術館。20世紀美術を中心とした多彩なコレクションを収蔵しているのが特徴です。

クロード・モネ《睡蓮》1907年

DIC株式会社とその関連企業が収集したアートを展示するため、DIC総合研究所敷地内に併設されています。広大な敷地の中には、美術館の他に貸しギャラリー、ギフトショップ、レストラン、自然散策路が設けられた庭園と、贅沢な時間を過ごすにはぴったりの施設が揃います。

毎日14時から開催される「ガイドツアー」は予約不要で、約1時間かけて館内をめぐります。また毎月第3土曜日には、対話型ギャラリートーク「mite!」を開催し、作品をじっくりと鑑賞しながら作品を読み解きます。音声ガイドアプリ(無料)もありますので、自分のペースでゆっくり見たいときには活用したいですね。

2016年に開設されたトゥオンブリー・ルームは、真っ白な空間にアメリカ現代美術を代表する芸術家の一人、サイ・トゥオンブリーの絵画作品とブロンズ彫刻を展示。開放感にあふれた空間が誕生しました。

館内で美術鑑賞をしたら、四季折々の姿を見せる庭園を、時間をかけて散策してみましょう。池越しにギャラリーを臨むと、とんがり屋根のメルヘンな建物が自然の中に溶け込んでいます。さらに奥へと進んでみてください。ヘンリー・ムーアの巨大なブロンズ像や、スイレンの池など、フォトスポットが点在します。館内は撮影不可ですので、撮影は庭園で!
「作品」「建築」「自然」が調和した美術館を、丸ごと楽しんでくださいね。

企画展

◎~2019年9月1日(日)「コレクションViewpoint 追悼 山口勝弘」
5月に一周忌を迎えた山口勝弘の初期作品を約20点まとめて展示します。鑑賞者が動くと絵も動いて見える「ヴィトリーヌ」シリーズなど実験性の強い作品群は、遊び心と新鮮な魅力を湛えています。
◎2019年9月14日(土)~12月8日(日) 「描く、そして現れる ―画家が彫刻を作るとき」
画家の平面と立体の作品を両方並べて展覧。絵と彫刻はどのように通じあい、どのように異なり、互いに関係しあうのか。国内外の約20人の画家たちがカンヴァスから踏み出して試みた実験を紹介。

DIC川村記念美術館

所在地/千葉県佐倉市坂戸631
アクセス/JR佐倉駅南口より無料送迎バス(所要時間約20分)
駐車場/300台(無料)
開館時間/9:30~17:00
休館日/月曜日(祝日の場合は翌平日休館)、年末年始ほか
入館料/展示内容によって異なります。庭園の入園料は2019年2月19日から無料になりました。
電話番号/050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト/http://kawamura-museum.dic.co.jp

ラブちば優待 特典内容/入館料団体割引料金適用
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市原湖畔美術館

※2020年3月31日(火)まで休館中です

高滝ダムを有する高滝湖は、桜の樹が湖を囲うように植えられて美しく、冬にはワカサギ釣り客でにぎわいます。その湖畔に位置し、市原市水と彫刻の丘をリニューアルして2013年にオープンしたのが、市原市湖畔美術館です。

建物のリノベーションは、千葉県出身の建築家からなるカワグチテイ建築計画が手がけました。もともと回遊性の高かったユニークな骨格を利用し、周辺環境とも一体化した造りは、建物と空間が織りなすアートそのもの。

エントランスでは、風変わりな形をした恒久作品「Heigh-Ho」が出迎えてくれます。壁のペイントと立体オブジェの世界観に、一気にアートの世界に引き込まれます。

常設展示は年4回の入れ替えがあり、現在は市原市収蔵作品の中から、銅版画家・深沢幸雄氏の作品を中心に展示を行っています。そしてさまざまな趣向を凝らすことで人気の企画展も要チェック! 常設展と合わせて鑑賞を!

撮影:遠藤 匡、提供:市原湖畔美術館

湖に面した芝生広場や展望台をはじめ、周辺の自然環境が素晴らしく、フォトスポットとしてもおすすめ。また、館内も私的使用目的に限り撮影が可能(フラッシュ撮影は不可)なので、お気に入りの作品は撮影して、思い出とともにいつまでも楽しめます。芝生広場にあるアートや、湖の水上彫刻もお見逃しなく!

ミュージアムショップや、房総の食材を使用したピザを中心とするレストラン「PIZZERIA BOSSO」も人気です。
圏央道「市原鶴舞IC」から約5分と利便性も高く、周辺の観光スポットと合わせて旅行やデートにいかがでしょうか。

企画展

◎~2019年7月15日(月) 「更級日記考―女性たちの、想像の部屋」
「更級日記」は、現実世界の暮らしに一喜一憂しながらも少女時代の物語世界への夢を抱き続けた、ひとりの女性の1000年前の回想記。本展では「更級日記」を出発点に12組の女性アーティストによる多様で、独自で、そして親密な、想像の世界を紹介。
◎2019年8月4日(日)~2019年10月27日(日) 「夢みる力――未来への飛翔 ロシア現代アートの世界」
ソ連の月探査機が月の裏側の撮影に初めて成功してから60周年、人類の月面着陸から50周年。ロシア文化がいかに宇宙的なものを追求してきたか、その歴史と現在を展示。幻想的な展示空間も楽しみのひとつ。

市原湖畔美術館

所在地/千葉県市原市不入 75-1
アクセス/小湊鐵道高滝駅より徒歩20分
駐車場/77台(無料)
開館時間/平日10:00~17:00、土曜・休前日9:30~19:00、日曜・祝日9:30~18:00
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日休館)
入館料/展示内容によって異なります。
電話番号/0436-98-1525
公式サイト/http://lsm-ichihara.jp/

ラブちば優待 特典内容/入館料団体割引料金適用
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千葉市美術館

※拡張リニューアルに向けて、2020年7月10日(金)まで休館中です

地上11階建ての建物は、もともとは中央区役所との複合施設として設計・建築されたもので、7階より上が展示室となっています。

道路に面した入り口から入ると、そこは8本の円柱が並ぶネオ・ルネサンス様式の「さや堂ホール」。ドラマやミュージックビデオのロケ地としても使われる、レトロな空間です。貸し出し施設なので使用中のこともありますが、未使用のときには撮影しても差し支えありません。
実はこのさや堂ホール、昭和2年に建てられた旧川崎銀行千葉支店が、ビルの内部に包み込むように保存されており、建設省設立50周年記念事業「公共建築百選」にも選ばれています。

さて、8階まで上がってみましょう。8階と7階の展示室では、千葉市美術館が所蔵する、浮世絵を代表とした江戸時代から近代までの絵画・版画や現代美術を軸に、多彩な展覧会が開催されます。街中の喧噪とは別世界で、広く落ち着いた雰囲気の中で贅沢なひとときを過ごします。

7階のミュージアムショップでは、美術図書やオリジナルグッズなどを販売。最上階にある「レストラン かぼちゃわいん」は、大きな窓から市街を眺望しながら、イタリアンとフレンチをアレンジしたカジュアルな料理を味わえます。

9階は講座室、10階は美術図書室、11階は講堂で、イベントや講座、ワークショップなどが行われますので詳細は公式サイトをご覧ください。

展示会

◎~2019年8月25日(日) 「没後60年 北大路魯山人 古典復興 ―現代陶芸をひらく―」
魯山人のやきもの約120点と同時代の陶芸家たちの作品に加え、彼らが学んだ中国、朝鮮、日本の古陶磁もあわせて展示。
◎2019年9月7日(土)~10月20日(日) 「日・チェコ交流100周年 ミュシャと日本、日本とオルリク」
アルフォンス・ミュシャとエミール・オルリクを中心に、チェコにおけるジャポニスムの影響を日本とチェコ双方の視点で探る。
◎2019年11月2日(土)~12月28日(土「目【me】 非常にはっきりと わからない」
空間を大規模に変容させる表現などで国内外で大きく注目を集める
現代芸術活動チーム「目」の、美術館における初の大規模個展。

千葉市美術館

所在地/千葉県千葉市中央区中央3-10-8
アクセス/JR千葉駅東口より徒歩10分
駐車場/あり(無料)
開館時間/10:00~18:00(入場は17:30まで)、金・土曜日は20:00まで開館(入場は19:30まで)
休館日/毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
入館料/展覧会ごとに異なります。高校生以下は無料。
電話番号/043-221-2311
公式サイト/http://www.ccma-net.jp/

ラブちば優待 特典内容/観覧料100円引き ※2019年12月28日まで
(ご利用の際は、こちらの「ラブちば優待証」画面をご提示ください)

市川市東山魁夷記念館

※2020年3月25日(水)まで休館中です

画家・東山魁夷の世界観にどっぷりと浸れる美術館です。その生涯の大半を過ごしたゆかりの地である市川市に、2005年に開館しました。

石畳の先には、馬をあしらった風見馬のついた八角形の塔。ここが美術館の入り口です。西洋風の建物は、東山魁夷が影響を受けた留学先・ドイツに想いを寄せたもので、異国情緒が漂うメルヘンな世界です。

『道(試作)』『夏に入る』『雪野』などの日本画や、リトグラフ、木版画、直筆の書や原稿ほか、貴重な作品と資料を所蔵しています。どこかアットホームな雰囲気のある1階と2階の展示室で、その世界観に触れてみてください。

2階の八角形の塔の部分は休憩室になっていて、ベンチに腰を下ろし、窓から外を眺めてホッとひと息。
1階には、ショップとカフェレストランもありますよ。

1・2階の展示室内と絵画作品は撮影禁止ですが、洋館はそのものがフォトジェニック。さらに、カフェレストランの裏手にあたる「KAIIの森」という小さな庭園にも、ぜひ足を運んでみてください。こちらも写真撮影におすすめです。

展示会

◎~2019年8月12日(月)(前期)、8月15日(木)~10月20日(日)(後期) 通常展「風景讃歌」
東山魁夷の初期から晩年に至るまでの「風景讃歌」世界を紹介。風景との対話から生まれた東山魁夷の清澄な作品世界を展示します。※前期・後期で一部作品の展示替えを行います。
◎2019年10月26日(土)~12月22日(日) 特別展「東山魁夷 日本美の象徴」
※特別展観覧料 一般600円、65歳以上480円、高校・大学生300円、中学生以下無料
◎2020年1月4日(土)~3月1日(日) 通常展「欧州への思慕 -憧憬と郷愁の国・ドイツー」
◎2020年3月7日(土)~5月24日(日) 通常展「東山魁夷 表紙絵と挿絵の魅力」

市川市東山魁夷記念館

所在地/千葉県市川市中山1丁目16番2号
アクセス/JR下総中山駅より徒歩20分(バス便あり)
駐車場/あり(普通車200円、大型・中型バス1000円)
開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝休日の場合は翌平日が休館)
入館料/一般510円、高校・大学生250円、中学生以下無料
電話番号/047-333-2011
公式サイト/http://www.city.ichikawa.lg.jp/higashiyama/

みなさんの写真投稿お待ちしています!

著作権保護や作品の劣化防止などのために、館内での撮影禁止の場所もあるため、美術館ごとのルールに従い素敵な写真を撮ってくださいね!

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